「公認心理師・関係行政論」における重要な法律・制度である精神保健福祉法について解説いたします。
精神保健福祉法とは?
精神障害者の医療及び保護を行い、社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のための援助を行い、並びにその発生の予防、その他国民の精神的健康の保持及び増進を目的とした法律である。
※正式名称「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」
精神障害者とは?
精神保健福祉法の第5条には精神障碍者の定義が規定されている。
第5条:この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又は依存症、知的障害、精神病質その他精神疾患を有する者をいう。
(明記はされてないが発達障害も含まれる)
精神保健福祉法における入院形態
精神保健福祉法における主な入院形態は、任意入院、措置入院、医療保護入院、応急入院、緊急措置入院がある。
入院形態 | 内容 |
任意入院 |
・本人の同意による入院であり、本人が退院を申し出た場合は退院できる。 ・精神保健指定医の診察により、病状から入院を継続する必要があるとの判断があれば、72時間を限度に退院を制限することが出来る。 |
措置入院 |
・本人の同意を必要とせず、都道府県の職員の立会いのもと、精神保健指定医2名の一致により自傷他害の恐れのあるとされた精神障害者の入院であり、都道府県知事の権限で行う。 ・行政処分である。 |
医療保護入院 |
・自傷他害の恐れはないが、精神保健指定医1名により、医療・保護が必要とされた精神障害者の入院。 ・家族等の同意が必要 |
応急入院 |
・精神保健指定医1名による診断の結果、自傷他害の恐れはないものの緊急を要する医療・保護を必要とされた精神障害者の入院。 ・本人や家族の同意が得られなくとも、72時間に限り病院の責任者が入院させることが出来る。 |
緊急措置入院 |
・自傷他害の恐れがあり、緊急を要するが、正規の措置入院のの手続きをとることが出来ない場合に、72時間に限って入院させることが出来る。 ・精神保健指定医1名の診断が必要。 |
医療観察法による「家族等」とは、配偶者、親権を行うもの、扶養義務者、後見人、補佐人である。
また、都道府県では、入院している精神障害者の処遇等について専門的かつ独立的に審査を行う精神医療審査会を設置することが出来る。
精神障害者の医療について学識の有する者2名以上、精神障害者の保険又は福祉に関して学識経験を有する者1名以上、法律に関して学識経験を有する者1名以上について都道府県知事が任命した5名で構成される。(任期は2年)
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者が都道府県知事に申請し、審査によって認められると公布される。
手帳には、名前、住所、障害の等級などが記されている。障害の程度は重い方から1級、2級、3級で、等級により受けられるサービスが違う。
等級の判定は精神保健福祉センターで行われる。
※知的障害者は精神保健福祉手帳の交付を申請できない。知的障害者は療育手帳(地方公共団体によって名称が異なる場合がある)の交付を申請できる。
ポイント
精神保健福祉法は、公認心理師の関係行政論において特に重要な法律です。
入院形態や精神保健福祉手帳についての知識は大いに役立つと思うのでぜひ確認してみてください。