「産業・組織心理学」における重要な用語のひとつであるPM理論(PM Theory)とSL理論(SL Theory)について解説いたします。
PM理論(PM Theory)とは?
三隅二不二(みすみじふじ)により提唱された、集団における機能の観点からリーダーシップの類型化を試みた理論のこと。
類型化の方法として、P機能重視型とM機能重視型を見出したことからPM理論と呼ばれている。
※上司のタイプ
P機能とM機能
Pm型 成果重視型であり、結果をあげるが、集団をまとめる力や人望はない。 |
PM型 成果を上げることもできるし、集団をまとめ上げる力もある。 |
pm型 成果をあげる力もないし、集団をまとめ上げる力もない。 |
pM型 集団をまとめようとし人望があるが、成果は残せていない、あるいは成果を重視していない。
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P機能
集団の機能は、その集団の持つ目標を遂行・達成するための目標達成機能なのだと考えるリーダーシップスタイル。
すなわち、成員のパフォーマンスを重視する。
Pは「Performance function」の略である。
具体例
・指示を出したりや具体的な方策を指し示す
・知識や技術を教える
・問題解決策を示す
・生産的な行動を求める
M機能
集団の機能は、集団構成員同士のまとまり、すなわち集団凝集性を維持しようとする、集団維持機能なのだと考えるリーダーシップスタイル。
すなわち、成員のメンテナンスを重視する。
Mは「Maintenance function」の略である。
具体例
・話しかけやすい
・部下を信頼している
・部下をほめる
・部下に意見を求める
・部下を助ける
内容
リーダーが「P」と「M」のどちらを重視しているかを構成員に評価させ、リーダーシップスタイルを明らかにする。
重視は大文字、軽視は小文字で表記される。
・リーダーシップにおける生産性の高さと構成員の満足度の高さ
【PM型→Pm型→pM型→pm型 (高いものから順番に)】
・リーダーシップにおける成員のモーラルの高さや集団凝集性の高さ
【PM型→M型→P型→pm型 (高い方から順番に)】
SL理論
ハーシーとブランチャードが提唱した理論である。
部下のタイプによって効果的なリーダーが偏号することを示したモデルである。
SFは「Situational Leadership」の略であり、状況即応アプローチと呼ばれる。(ライフサイクル論ともいわれている)
内容
協同的行動を縦軸、指示的行動を横軸に置き、効果的なリーダーシップスタイルをモデル化した理論である。
参加型(Q3) ・協同的行動:高い ・指示的行動:低い |
説得型(Q2) ・指示的行動:高い ・協同的行動:高い |
委譲的(Q4) ・協同的行動:低い ・指示的行動:低い |
教示的(Q1) ・指示的行動:高い ・協同的行動:低い |
※部下の成熟度が上がるにつれ、Q1→Q2→Q3→Q4に移行するのが良いとされている。
例えば、新入社員に対しては「教示的リーダーシップ」をとり仕事のやり方を教えていくのが良く、中堅社員など業務の理解度が上がるにつれて「委譲的リーダーシップ」をとり部下の仕事に対しては基本的に手を差し伸べず任せ、不安が生じた時に援助するといった形が望ましい。
ポイント
産業・組織心理学のリーダーシップ理論の中でも特に有名な2つの理論です。
PM理論とSL理論を組み合わせて使うことにより、より望ましいリーダーシップ像が見いだせるのではないでしょうか?
ぜひ参考にしてみてください。