「臨床心理学」の心理療法の根拠思想として重要な位置を占める社会構成主義(social constructionism)について解説いたします。
客観的かつ絶対的な物事の存在を前提とせず、現実は現象に対してどのように捉え、どのように定義し、語り合うかによって社会的に認識されるようになるものであると考える立場である。
内容
簡単に言うと社会構成主義とは、「現実は会話で合意がなされることによって構成される」という考え方のことである。
つまり、現象に対してどのように捉え、どのように定義し、語り合うかによって「現実」の構成のされ方が変わりうることを示している。
ということは、決まったたったひとつの「現実」があるのではなく、その「現実」をどの言葉を用いて考え、どのような言葉で会話するかによって、現実が色づけられていくため、語る言葉によって「現実」がどのような形にもなりうるのである。
社会構成主義と臨床心理学
例えば、臨床心理学の治療技法でナラティブセラピーや家族療法という技法があるが、これらの技法の考え方では、社会構成主義という哲学感が大きく寄与している。
これらの技法では、セラピストは社会構成的な立場からクライエントの歩んできた人生を、別の捉え方が出来るように対話をする。
つまり、患者やクライエント等の相談者が語る物語を、主観を含めた全体性を重要視して聞きとるアプローチである。
※客観的な事実が重要なのではなく、個人の語りが「現実」を作っていくのである。
ポイント
社会構成主義は、ナラティブ・アプローチという臨床心理学の世界観に大きな影響を与えたものです。
特に上述した、ナラティブ・セラピーや家族療法においては重要な哲学感です。
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