「臨床心理学」における主要な治療技法であるモデリング療法(modering)について解説します。
モデリング療法(modering)とは?
バンデューラー,A.のモデリング理論を元に開発したもの。
社会学習理論におけるモデリングの原理に基づき、適切な行動をとる他者の観察を通じて、認知と行動の変容を促す認知行動療法である。
モデリング療法では、症状が現れる場面において、自分以外の人が問題なく適応している様子を見せることで症状を消去させる。=代理強化
ex)犬を怖がっている子供に対して、犬と仲良く楽しそうに遊んでいる別の子供の姿を見せる。
モデリング療法の過程
モデリングの過程の詳細を以下に示す。
① 注意過程
→モデルの行動に注意を向けること。
② 保持過程
→観察したモデルの行動を記憶すること。
③ 運動再生過程
→記憶したモデルの行動を再生すること。
④ 動機づけ過程
→再生した行動を強化すること。
これら4つ(注意過程、保持過程、運動再生過程、動機づけ過程)からなる。
モデリング療法の効果と留意点
モデリング療法は、不適応的行動の消去と適応的行動の獲得が同時に進むため効率的であるとされている。クライエントが獲得すべき適応的行動が具体的に示されているため、認知的なレベルの変容も起こりやすい。
(恐怖症の治療や、精神疾患者のスキル訓練など多くの場面で用いられている。)
【モデリングの5つの効果】
1. 観察学習効果
2. 抑制・脱抑制効果
3. 反応促進効果
4. 環境刺激高揚効果
5. 覚醒効果
留意するべき点としては、モデルとして示される行動がクライエントにとっていかに有意義であるを心理教育することや、モデルとなる行動をクライエントに合わせてスモールステップに分けることなどが挙げられる。
ポイント
モデリング療法の4つの過程や、5つの効果を理解しておくと深みのある知識になるかと思います。
社会学習理論や代理強化といった専門用語が出てきますのでそちらをしっかりと抑えておいてください。
行動療法や認知行動療法の全般的な内容や、それぞれの個別の技法などは以下のリンクからご覧いただけます。この機会に合わせて勉強してみてください。